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​ご 挨 拶

赤木 純児

日本ヨーガ療法学会第2回九州ブロック大会 

大会長 赤木 純児

 くまもと免疫統合医療クリニック病院長

 多様化する現代社会におけるヨーガ療法の幅広い普及と発展を目的として、第2回ヨーガ療法学会九州ブロック大会を熊本にて開催させて頂きます。大会テーマは、「健康促進とヨーガ療法」と致しました。

 私はがんの治療を数十年にわたり行ってきました、最初は消化器外科医として数多くの手術を行い、再発予防と再発した患者の治療として標準治療の抗がん剤治療に携わってきました。しかし、こうした標準治療で治癒する患者は全体の半分くらいで、残りの半分は再発して主に抗がん剤治療を行いますが、ほとんどの方は亡くなられます。再発した患者に対する標準治療としての抗がん剤治療は残念ながら、一時的延命はできても治癒させることはできないのです。しかし、一昨年、本庶佑先生が免疫のブレーキである、PD-1という物質の発見でノーベル賞を受賞されてから事態は変わりました、このブレーキを外すオプジーボという薬を使うと、免疫が活性化されて末期がん患者でも治癒することができることが分かってきたのです。つまり、免疫がほんとうに活性化されれば末期がんでも治る、免疫こそがん治療の主流だということです。このことはこれまでのがん治療の基本的考えを覆すものでした。これまでのがん治療の基本は、手術、抗がん剤、放射線治療の三大治療が主流でしたが、これらにはいずれも免疫的観念が欠如しており、逆に免疫を低下させる治療であったのです。従って、免疫力のしっかりした初期の癌患者であれば治癒も可能ですが、免疫力が明らかに低下した進行癌患者や末期がん患者ではこれらの三大治療は免疫力を逆に低下させて癌をさらに進行させてしまうという期待はずれの事態を引き起こしていたのです。私は5年ほど前より、免疫を活性化する治療法(ハイパーサーミア、低用量化学療法、水素ガス、漢方治療など)を行い、進行癌患者や末期がん患者に対してこれまで考えられなかったような素晴らしい成果を出しています。このような免疫力は、がん患者ばかりでなく、健康な人にも重要なファクターになります。免疫的観点から、健康を定義するなら、健康とは免疫がしっかり働いて、がんやさまざまな異物から生体を守ってくれている状態で、健康長寿の秘訣は如何に免疫を正常に保つかということになります。「未病」とは、明らかな病気にはなっていないけれど、免疫が弱り始めている状況ということができるかもしれません。我々はがん患者の治療でその有効性が確認できた免疫パラメータを用いて、健康成人の免疫状態を測定することも可能となっており、その意味で「未病」の診断、そして治療も可能となっています。

 現在、紀元前から伝承されているインド発祥のヨーガが世界中で広まっており、伝統的ヨーガを礎としたヨーガ療法は心身相関の健康回復に貢献していると言うエビデンス(科学的根拠)が世界でも発表されて居ります。そういう意味では、ヨーガは免疫にも深く関与していることが想定され、我々が行った予備試験ではヨーガ療法によって免疫パラメータが有意に動くことが確認されました。ヨーガが免疫を介して、健康促進に関与していることが示唆されました、このご報告も今回発表させて頂きます。

 今回の九州ブロック大会では、「健康促進とヨーガ療法」というテーマで、ヨーガ療法が免疫を介して、皆様の健康長寿、QOLの向上に関与していることを示すことができればと考えています。皆様のご参加をお待ちしております。

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